構造材料に関する3つの国家研究開発プロジェクトの連携による『3府省合同 構造材料プログラム「研究成果報告会」』が、2017年6月13日、イイノホール(東京都千代田区)で開催されました。
3つのプロジェクトとは、内閣府が所管する「戦略的イノベーション創造プログラム 革新的構造材料」(SIP-SM4I)※1、文部科学省が所管する「元素戦略プロジェクト<研究拠点形成型>構造材料領域」(ESISM)※2、そして当組合が実施している経済産業省が所管する未来開拓研究プロジェクト「革新的新構造材料等技術開発」(ISMA)※3です。
報告会には各プロジェクトの関係者をはじめ、構造材料の研究開発に関心を持つ企業や研究機関、大学などから600名を超える参加があり、オーラルセッションではメインホールに加えてサテライトルームを急きょ用意するほど大盛況でした。
報告会の冒頭、田中功ESISM拠点長(京都大学教授)と、岸輝雄ISMA理事長(SIP-SM4Iプログラムディレクター兼務)が開会挨拶に立ちました。岸理事長は「産学官、そして府省も連携した研究プロジェクトを推進することにより、日本の産業競争力を大きく向上させる一翼を、材料の面から担っていきたい」と述べました。その後、内閣府 総合科学技術・イノベーション会議から久間和生議員、文部科学省から関靖直研究振興局長、経済産業省から末松広行産業技術環境局長にご来賓挨拶を賜りました。
午前のセッションはSIP-SM4Iが研究の概要とこれまでの成果を発表しました。SIP-SM4Iでは日本の航空機産業を材料から押し上げるため、A)樹脂・FRP、B)耐熱合金・金属間化合物、C)セラミックス基複合材料、D)マテリアルズインテグレーションの4領域で研究開発を推進していることなどを説明しました。
午後のセッションでは、ESISM(京都大学 構造材料元素戦略研究拠点)が、徹底的な基礎研究を通して新しい概念の構築に貢献することなどをミッションに掲げ、電子論、解析・評価、材料創製の3グループを形成し、研究に取り組んでいることを報告しました。
続いてISMAから秋宗淑雄(ISMA)が、自動車を中心とした輸送機器の主要な構造材料の高強度化等に係る技術開発を一体的に推進するプロジェクトの全体像を紹介しました。次いで鉄鋼分野は大村孝仁氏(国立研究開発法人物質・材料研究機構)、CFRP分野は石川隆司氏(名古屋大学)、非鉄分野は吉澤友一氏(国立研究開発法人産業技術総合研究所)、接合分野は平田好則氏(大阪大学)が、各分野の開発目標と研究成果について発しました。
3プロジェクトの発表後、長井寿氏(物質・材料研究機構)をファシリテーターに迎え、「日本発軽量マルチマテリアル輸送機械をどうやって実現していくのか?」を命題に、パネルディスカッションを行いました。(1)到達しつつある新しい地平、(2)社会実装のために必要な新しい基礎研究、(3)省庁・産学官共創に向けた3プロジェクトの連携、について各プロジェクトに参画するパネリストが、それぞれの立場から発言、討議しました。ISMAからは、河野佳織氏(新日鐵住金)、梅村晋氏(トヨタ自動車)、平野啓之氏(東レ)が登壇しました。閉会挨拶はNEDOの佐藤嘉晃理事、JSTの白木澤佳子理事が行い、オーラルセッションを締めくくりました。い
オーラルセッションと並行して、カンファレンスセンターのRoom Aでポスターセッションを開催しました。合計74枚のポスターが掲示され、コアタイムには、説明員とご来場者が活発に討議しました。
※1 管理法人は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)。
※2 京都大学 構造材料元素戦略研究拠点にて実施。
※3 2014年度から国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクト「革新的新構造材料等研究開発」となる。
【関連リンク】
3府省合同 構造材料プログラム「研究成果報告会」特設サイト
戦略的イノベーション創造プログラム「革新的構造材料」(SIP-SM4I)
元素戦略プロジェクト<研究拠点形成型>「構造材料領域」京都大学 構造材料元素戦略研究拠点(ESISM)