新構造材料技術研究組合(ISMA)は、2019年1月21日、イイノホール(東京都千代田区)で、革新的新構造材料等研究開発「平成30年度成果報告会」を開催しました。経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、組合員、再委託機関のほか、構造材料の研究開発に関心を持つ企業や研究機関、大学などから約280名の参加がありました。
報告会冒頭、当組合の岸輝雄理事長が開会挨拶に立ち、自動車運転や電気自動車(EV)の開発が予想以上に早く進み、自動車を取り巻く環境が変わっても、本プロジェクトの目的である構造材料の軽量化は必要な基盤的技術であり、その役割の重要性は変わっていないとした上で、6年目の今年度は異種材料の接合をはじめとするマルチマテリアル化の研究に歩を移していると述べました。さらにライフサイクルアセスメント(LCA)、腐食・水素脆性の評価技術の開発のほか、透過力が高い中性子線の開発により、部品をそのまま非破壊検査できるような時代の先鞭をつけること、マルチマテリアル設計モデル車の提案までつなげることなど、本プロジェクトへの意欲を語りました。
続いて経済産業省産業技術環境局の渡邊昇治審議官にご来賓挨拶を賜りました。その後、株式会社本田技術研究所の上野宏明氏による「マルチマテリアル車体の必然性と材料技術への要請」、物質・材料研究機構 の出村雅彦氏による「マテリアルズインテグレーション~材料開発手法刷新に向けたSIPの挑戦」と題した特別講演が行われました。
午後は自動車車体のマルチマテリアル化に向けたプロジェクトの取り組みとして、各研究開発課題の成果発表が行われました。発表内容と発表者は以下の通りです。
発表内容 | 発表者 |
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マルチスケール腐食解析技術開発 | 土井 教史氏(新日鐵住金株式会社) |
超高強度鉄鋼材料の遅れ破壊(水素脆化)評価技術開発 | 兵藤 知明(ISMA) |
マルチマテリアル設計技術開発 | 山下 秀(ISMA) |
マグネシウム材のマテリアルズ・インテグレーション(MI) | 榎 学氏(東京大学) |
中性子等量子ビームを用いた構造材料等解析技術の開発 | 大島 永康氏(産業技術総合研究所) |
異材接合技術への取り組み | 杉本 幸弘氏(マツダ株式会社) |
難燃性マグネシウム合金を使った高速鉄道車両構体の開発 | 堀谷 貴雄(ISMA) |
成果発表の後、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の今井淨理事より閉会の挨拶を賜りました。
オーラルセッションと並行してポスターセッションを開催しました。合計22テーマに上るポスターが掲載され、コアタイムには来場者と各テーマの研究者が活発に議論を交わしました。
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