新構造材料技術研究組合(ISMA)は、2018年1月26日、イイノホール(東京都千代田区)で、革新的新構造材料等研究開発「平成29年度成果報告会」を開催しました。10年プロジェクト(2013~2022年度)前半5年の節目となる今回は、経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、ISMA組合員、再委託機関をはじめ、構造材料の研究開発に関心を持つ企業や研究機関、大学などから約360名の参加を得ました。
報告会冒頭、岸輝雄(ISMA理事長)が開会挨拶に立ち、パリ協定の採択などプロジェクトを取り巻く5年間の社会的変化に触れた後、プロジェクトが予定通りに進み、中間目標を達成していることを報告。後半の課題として、これまで開発した材料を実用化するために成形技術や設計技術に結び付けていくこと、ゼロエミッションにつながるライフサイクルアセスメント(LCA)を見つめ直し、特にCFRPのリサイクルに注目していくこと、マルチマテリアル車の設計に向けて計算科学を駆使したCAE(Computer Aided Engineering)を発展させていくことなどを挙げました。
続いて経済産業省産業技術環境局の末松広行局長にご来賓挨拶、NEDOの今井淨理事に共催挨拶を賜りました。
オーラルセッションの午前の部では、秋宗淑雄(ISMA技術企画部部長)が事業概要を説明した後、ISMAの各プロジェクトマネージャーが「革新鋼板の開発」「革新的マグネシウム材の開発」「革新的アルミニウム材の開発」「革新的チタン材の開発」「革新炭素繊維基盤技術開発」「熱可塑性CFRPの開発」に関する研究成果を発表しました。
午後の部では、「接合技術開発」に関する発表後、「戦略・基盤研究」の「計測解析評価研究」に参画する次の7大学が、それぞれの研究成果を発表しました。
テーマ名 | 研究代表 |
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金属材料 | 横堀 壽光 帝京大学特任教授 |
軽量金属材料 | 伊藤 吾朗 茨城大学教授 |
マルチマテリアル設計-複合材料 | 北條 正樹 京都大学教授 代理発表:西川 雅章 京都大学准教授 |
マルチマテリアル設計-構造・材料の最適化の研究 | 渋谷 陽二 大阪大学教授 |
小型中性子源を利用した鉄鋼材料測定をシームレスに進めるための1.5世代中性子源開発 | 大沼 正人 北海道大学教授 代理発表:古坂 道弘 北海道大学教授 |
ミクロスケール強度基準に基づく熱可塑性CFRP部材の製造プロセス最適化基盤技術開発 | 吉川 暢宏 東京大学教授 代理発表:梁 建国 東京大学特任研究員 |
超高強度自動車ホットスタンピング部材の耐遅れ破壊性に及ぼす合金添加元素と組織の影響 | 岡安 光博 岡山大学教授 |
その後、今年度始動した新規2テーマが紹介されました。「中性子等量子ビームを用いた構造材料等解析技術の開発」は、ISMAつくば中央梅園分室(産業技術総合研究所)の友田陽氏が、「構造材料用接着技術の開発」は、ISMAつくば中央東分室(産業技術総合研究所)の佐藤千明氏が説明しました。
そしてNEDO材料・ナノテクノロジー部主査の宮本一夫氏から、本プロジェクトの成果まとめと後半の展望について、外部有識者による研究評価委員会の中間評価の結果を交えた報告がありました。
最後に吉田泰(ISMA専務理事)が閉会挨拶を行い、オーラルセッションを締めくくりました。
オーラルセッションと並行して、カンファレンスセンターのRoom Aでポスターセッションを開催しました。今回は各テーマのポスター枚数を倍増、コアタイムも拡大し、ポスターセッションの充実を図りました。合計36テーマ、64枚に上るポスターが掲示され、ご来場者と各テーマの研究者が熱心に議論を交わしました。
※成果報告の詳細は「ISMA REPORT No.10」(2018年3月発行予定)に掲載の予定です。
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