西脇教授の研究開発チームの今後の目標は、主に2つです。1つは、2022年度後半には、実際の自動車のモデルをベンチマークに、トポロジー最適化システムによる数値解析をもとに、製造性を考慮したマルチマテリアルボディ構造を提案すること。もう1つは、マルチマテリアルに適用可能なトポロジー最適化システムを標準化し、汎用ソフトウェアとして広く提供することです。「2023年には、そのためのコンソーシアムを作る計画で、今後コンソーシアムを通してより多くの方々に広く利用していただける体制を整えていく計画です」と西脇教授。
最後に、ISMAに参画したことの意義について、西脇教授は次のように振り返ります。
「マルチマテリアルに適用可能なトポロジー最適化システムの構築は大学内でもできることです。しかし、それを実設計にまで落とし込むことは決して大学だけでできることではありません。また、私自身は構造最適化を専門としていますが、建造物など構造物全般を対象としており、自動車に特化しているわけではありません。それに対し、ISMAのプロジェクトの下、企業や自動車技術会の方々と研究開発体制を作ることで初めて、自動車の実設計を目指すことが可能となりました。これがISMAプロジェクトに参画したことの最大の意義だと感じています。マルチマテリアルに適用可能なトポロジー最適化システムを通して自動車の大幅な軽量化を実現し、地球環境問題に貢献したいと願っています」