マルチマテリアル設計技術と連携した接合・接着技術の開発

構造部材の同種材料あるいは異種材料の接合技術として、溶融接合、ろう接、固相接合、接着、機械的締結が開発されています。しかし現状では車体生産ラインで実用化するには、継手性能や生産性、コスト面から十分ではありません。本研究開発では、中高炭素鋼を含む超高強度鋼やチタン材といった難接合材の接合、金属/CFRP 間の異種接合に適用できる摩擦撹拌接合技術や溶融接合技術などの開発とともに、接合プロセスのその場観察やモデル化、継手性能を評価する技術の確立に取り組んでいます。また異材接合に対応するため、2017年度より構造材料用接着技術の開発を開始しました。コスト競争力に優れ、実用可能な革新的接合・接着技術を開発するため、マルチマテリアル設計技術と連携しながら、材料選択に応じた適切な継手性能を発揮する接合プロセスの技術開発とその基盤研究を実施しています。

開発概念図

開発概念図

研究成果

【特集】中高炭素鋼の実用化を促進する革新的な固相摩擦接合技術の開発(ISMA REPORT No.13:2018年12月) 

【特集】マルチマテリアル化の鍵を握る接合技術の開発(ISMA REPORT No.7:2017年6月)

構造材料用接着技術の開発

マルチマテリアル構造の実現には、プロセス温度が比較的低温で、変形が少なく、剛性を確保できる接着接合が適しています。接合強度や耐久性、生産性の課題を解決するため、新規接着剤の開発や、接着メカニズム解明と評価法の確立、接合部の耐久性を向上する手法の確立を目指しています。

ターゲットとする性能(接着後塗装)

ターゲットとする性能(接着後塗装)

ターゲットとする性能(塗装後接着)

ターゲットとする性能(塗装後接着)

中高炭素鋼/中高炭素鋼の摩擦接合共通基盤研究

これまで接合が困難だった炭素量0.3%以上の中高炭素鋼の接合を可能にする技術を開発しています。

研究成果

両面複動式摩擦攪拌接合(フラットFSW)技術の開発

複動式ツールを用いて継手性能を向上させるフラットFSW法を開発しています。またX線透過装置によってFSW中のトレーサーの軌跡を三次元で可視化することに成功しました。

フラットFSW装置(左)とX線透過装置(右手前)

フラットFSW装置(左)とX線透過装置(右手前)

中高炭素鋼/中高炭素鋼のフリクションスポット接合技術の開発

接合が難しい超高強度鋼板の接合ロボットシステムと接合ツールの開発を行いました。(2017年度終了)

研究成果

超高強度鋼の摩擦点接合(FSJ)用長寿命ツールを開発

本研究開始当初は1.2GPa級鋼板を使用して204打点で摩耗していたツールが、2017年度末には1.5GPa級鋼板で10,000打点を超えても使用できるほど耐久性が向上しました。

1.5GPa級鋼板を用いたツール耐久性試験結果

1.5GPa級鋼板を用いたツール耐久性試験結果

PAGE TOP