新材料の材料代替効果定量技術の開発

新規構造材料開発において、新たな技術によって開発された材料の代替効果を求めることは重要です。
しかし、材料のライフサイクルは製品のライフサイクルとは異なるため、既存の製品を対象としたLCA手法では総合的な材料代替効果の評価はできません。
本研究では、材料の物質フローやリサイクル性などを加味した評価手法の確立と評価ツールの開発を行っています。現在、2020年度に開発した評価ツールのベータ版を組合員に提供することでサプライヤーとユーザーそれぞれの立場からフィードバックを得ながら改良を加えています。並行して、評価に必要なデータ構築をさらに進め、2022年度中に今後の材料代替効果の定量方法を示す予定です。

評価手法のねらい

評価手法のねらい

評価手法の概要

開発している評価手法は、材料の生産・リサイクルに加えて自動車の軽量化後の使用段階において省エネルギー効果等が評価できるConsequential LCAと呼ばれるもので、製品やシステムの生産レベルの変化に伴う環境負荷の違いが解析可能となる手法です。既存のインベントリデータベース(Inventory Database for Environmental Analysis, IDEA)*1に将来シナリオや物質フロー分析を統合し、時間的・空間的に拡張したデータベースを構築し、新材料の材料代替効果の評価ツールとして実装しています。

評価手法の概要

評価手法の概要

リサイクル効果を考慮したライフサイクルイベントリ手法の開発

この手法は、ライフサイクルインベントリデータベース(IDEA)、将来シナリオ、材料LCI、材料フロー解析(MFA, Material Flow Analysis)、そしてリサイクル性評価というパーツで構成され、それぞれが関係しながらLCA結果を算出します。リサイクル性評価では、リサイクル材のグローバル市場における需給バランスや環境負荷発生等の回避効果を算出し、LCA結果に反映されます。

リサイクル効果を考慮したライフサイクルイベントリ手法の開発

リサイクル効果を考慮したライフサイクルイベントリ手法の開発

研究成果

材料代替効果の評価ツールのβ版をプロジェクト内の開発現場へ提供して、現場からのフィードバックを得ながらツールをより使いやすいように改良しています。併せて、評価に必要なデータの構築を進めていき、今後の材料代替効果の定量方法の提案を行います。

評価ツール(β版)の出力イメージ

評価ツール(β版)の出力イメージ

 

IDEA

*1 国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 IDEAラボ
IDEA (Inventory Database for Environmental Analysis)
https://riss.aist.go.jp/idealab/research/assessment/

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